○高取町政治倫理条例

平成21年3月6日

条例第1号

(目的)

第1条 この条例は、町政の担い手たる高取町の町長、副町長及び教育長(以下「町長等」という。)並びに高取町の議会議員(以下「議員」という。)が、町民の厳粛な信託によるものであることを認識し、町民全体の奉仕者として、その人格と倫理の向上に努め、自己の地位による影響力を不正に行使して、自己の利益を図ることのないよう必要な措置を定めることにより、町政に対する町民の信頼に応えるとともに、併せて町民にも町政に対する正しい認識と自覚を喚起し、公正で開かれた民主的な町政の発展に寄与することを目的とする。

(町長等及び議員の責務並びに政治倫理基準)

第2条 町長等及び議員は、町民の信頼に値する倫理性を自覚し、その高潔性を実証するとともに、常に町民全体の利益を擁護し、公共の利益を損なう次のようなことがあってはならない。

(1) 町民全体の奉仕者として品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関し不正の疑惑をもたれるおそれのある行為

(2) 刑法上の贈収賄罪に該当するか否かを問わず、その職務の公正を疑わせるような金品授受の行為又はその地位を利用した町職員に対する物品販売の行為

(3) 町並びに町が関係する公共工事(下請工事を含む)、業務委託、物品納入及び使用資材の購入(以下「工事等」という。)に関して特定の業者の推薦又は紹介をするなど、有利な取り計らいをすること。

(4) 公正な人事を図るため、町の職員(以下「町職員」という。)の次に掲げる事項に関し、特定の者を推薦し、又は紹介してはならない。

 町長等にあっては、採用に関すること。

 議員にあっては、採用、昇任又は人事異動に関すること。

2 町長等及び議員は、町民全体の安全と安心を念頭に、一切の暴力を排除しなければならない。

3 町長等及び議員は、政治倫理に違反する事実があるとの疑いをもたれた場合には、第5条に定める政治倫理審査会に出席し、自ら潔い態度をもって疑惑の解明にあたるとともに、その責任を明らかにしなければならない。

(町民の責務)

第3条 町民は自らも主権者として町政を担い、公共の利益を実現する責務を負うものであるとの自覚を持ち、町長等及び議員に対し、次に掲げる働きかけを行ってはならない。

(1) 前条第1項第3号に規定する工事等の指名又は選定の依頼

(2) 町職員の採用、昇任又は人事異動に関しての推薦又は紹介の依頼

(3) 道義的批判を受けるおそれのある寄附行為

(4) その他、飲食の供与等社会通念上疑惑をもたれるおそれのある行為

(工事等の契約に関する遵守事項)

第4条 町と工事等の契約をしようとする企業が次の各号のいずれかに該当する場合は、あらかじめ当該工事等の契約を辞退しなければならない。

(1) 町長等及び議員が当該企業の役員をしている場合

(2) 町長等及び議員が実質的に当該企業の経営に携わっていることが明白である場合

(3) 町長等及び議員が当該企業から報酬を受けている場合

(4) 町長等及び議員が当該企業に対して出資している場合

(5) 町長等及び議員の配偶者又は一親等以内若しくは同居の親族が当該企業の役員をしている場合

2 町長等及び議員は、前項の規定により関係企業が契約を辞退するときは、町民に疑惑をもたれないように責任をもって関係企業の辞退届を提出するものとする。

3 前項の辞退届は、町長等及び議員の任期開始の日若しくは新たに第1項に規定する関係が企業との間に生じた日から30日以内に、町長に提出するものとする。

4 町長は、前項の規定により提出された辞退届の写しを議長に送付しなければならない。

5 町長は、町長等及び議員の辞退届の提出状況を公表するものとする。

(政治倫理審査会の設置)

第5条 政治倫理確立に関する必要な事項を調査するため、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第138条の4第3項の規定に基づき、高取町政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置する。

2 審査会の委員は、原則として次のとおりとし、町長が議会の同意を得て選任する。

(1) 社会的人望があり専門的知識を有する者 2名

(2) 法第18条に定める選挙権を有する町民 5名

3 審査会の委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 審査会の会議は公開するものとする。ただし、やむを得ず非公開とするときは、出席委員の3分の2以上の者の同意を必要とする。

(委員の守秘義務等)

第6条 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

2 審査会の委員は、その職務を政治目的のために利用してはならない。

3 審査会の委員は、公平かつ適正にその職務を遂行しなければならない。

(町民の調査請求権)

第7条 法第18条に定める選挙権を有する町民は、町長等及び議員が第2条又は第4条の規定に違反する疑いがあると認めるときは、これを証する資料を添えて、選挙権を有する者の100分の1以上の連署とともに、文書で町長等にかかるものは町長に、議員にかかるものは議長に調査を請求することができる。

2 町長及び議長は、前項の規定による調査の請求を受けたときは、受けた日の翌日から起算して20日以内にその書面の写しを添えて、審査会に調査を求めるものとする。

3 第1項の規定による調査の請求は、規則で定める期間、調査の請求をすることができない。

(審査会の調査)

第8条 審査会は、前条第2項の規定により調査を求められたときは、当該事実の存否の調査を行い、60日以内に調査結果報告書を町長及び議長に提出しなければならない。

2 町長及び議長は、前項の調査結果報告書の提出を受けたときは、20日以内に請求者に文書で回答するとともに、速やかに公表しなければならない。

3 審査会は、第1項の調査を行うため、関係者から資料の提出をもとめ、事情聴取を行うことができる。

(遵守事項の違反行為に対する措置)

第9条 町長及び議員が、第4条の規定に違反している疑いがある場合、町長及び議長は、速やかに審査会に調査を依頼しなければならない。

2 前項の規定により調査した結果、審査会において規定に違反しているとの報告があった場合、町長は当該契約を締結してはならない。この場合において、町長はその旨を公表するものとする。

(その他政治倫理基準の違反行為に対する措置)

第10条 その他、この条例に定める政治倫理基準に違反している疑いがある場合、前条に準じ町長及び議長は、審査会に調査を依頼しなければならない。

2 前項の規定により調査した結果、審査会において規定に違反しているとの報告があった場合、町長はその旨を公表するものとする。

(規則への委任)

第11条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

附 則

(施行規則)

1 この条例は、平成21年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際、現に町長等及び議員である者の第4条の規定の適用については、同条第3項中「町長等及び議員の任期の開始の日」とあるのは、「この条例の施行の日」とする。

高取町政治倫理条例

平成21年3月6日 条例第1号

(平成21年4月1日施行)